大阪は緊急事態宣言が解除されてから1週間以上が経ちました。
解除されて1番嬉しかったのは「本屋に行けること」かもしれません。
本もネットで読める世の中ですが、内容や装丁を見て、触ってから買いたいものもある。そして本屋のあのズラーっと本が並んでいる景色が好きなんですよね。いろいろな表紙を見ているだけでもワクワクします。
そんな訳で、久々の本屋でまず手に取ったのが話題のこの本。
ハ・ワンさん著書の「あやうく一生懸命生きるところだった」です。
ワンさんとは?
ワンさんは韓国在住で、会社員とイラストレーターを兼業していた39歳の青年。
40歳を目前に突然会社を辞め、頑張らない生き方をはじめたというエッセイです。
文章もイラストも、力が抜けていてクスッと笑える、とても読みやすい本です。
例えば、年齢による焦りや「いい歳して」という考えに囚われていたことに気づき
「自分は32歳ということにしよう。大学を卒業後、社会人生活を数年経た後、面白い仕事をするために儲けを度外視して新しいことに挑戦する32歳の男。それが僕のコンセプトだ、自分をダマすための。みんなも認めてくれるならもっとなりきれそうだから、よろしくな」
なんて書いてあったり。
笑えるけれど、確かにそうかもなぁ・・と考えさせられる内容です(同年代だけに、特に)。
韓国一の美大と言われているホンデ合格にこだわり、せっかく三浪して合格したのに、在学中は予備校講師のアルバイトに精を出しすぎて学校生活もままならず。
アルバイトで精魂尽き果て、卒業後は就職せずに3年間引きこもったそうです。
その後知り合いの誘いでデザイン会社に入社。しばらくしてからイラストの仕事も来るようになり、会社員とイラストレーターの二足の草鞋を履くことになったのだとか。
最初は嬉しかったのに、ダブルワークにも疲れ果て、イラストの仕事も嫌になってしまったそうです。
そして「少しでもお金を稼ごう、幸せになろう!」と頑張ってきたことに疲れて「一生懸命をやめよう」と退社。
志があったわけでもないし、会社が大嫌いとか、イラストの仕事に集中したかったわけでもない。
「自分は必死になってどこへ向かっているのだろう?」と考えてみたけどわからなかったから立ち止まっただけだ、と書いています。
そして退社後は昼に起き、ビールを飲んだり、本を読んだり、たまにイラストを描いたりしているそうです。
等身大の悩みや疑問が書かれているので共感できますし、国が違っても思うことは一緒なんだなと感じさせられます。
あと、ワンさんが描くイラストがいいんですよね。
この本をきっかけにイラストレーターとして忙しくなっちゃうんじゃないの?と思います。
タイトルにドキッとさせられた訳
私がこの本を読んでみたいと思ったのはタイトルにドキッとしたからです。
自分で言うのもなんですが、私も割と一生懸命に生きてきたタイプだと思います。
子供の頃から毎年目標を立て、それを達成するのが好きでした。
今でも毎年自分の進化が感じられないと嫌で、止まるのが怖い。
自粛期間中も「せっかくの時間を無駄にしたくない!」と焦り、有意義に使うことに神経質になっていました。
そんな中、雑誌でこの本の紹介を見て、今の自分に必要なことが書いてあるような気がしたんです。
深刻になりすぎる必要はない。
毎度毎度、真摯に向き合わなくてもいい。答えを探す必要はもっとない。
人生は答えじゃなくてリアクションが重要な試験なのだから。
などの言葉にハッとさせられ、読んでいるうちに付箋をつけまくってしまいました。
「そこまで深刻に生きるもんじゃない」という言葉に、力が入りすぎていたなぁと思ったんです。
私がワンさんのように仕事を辞めて毎日ダラダラ暮らせるかと言ったら、怖くて無理でしょう・・。
休むと言いながら、何かしらのスキルをつけようとあがいてしまうと思います(笑)
でも羨ましい・・。止まってみたい!
この本を読んで、いざとなればそうすればいいと思えたのが良かったです。
そんなことできない!と自分をがんじがらめにしているのは自分なんですよね。
頑張ることに疲れたり、人と自分を比べて焦ったり、このまま年を取って良いのだろうか?と思うことは誰しもあるのではないでしょうか。
そんな人にほど勧めたいのがこの本。
韓国の文化も覗けますし、日本の本や漫画の話も出てきて親しみやすいので、ぜひ。
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